若い頃、大学を中退してプラプラしており、そろそろまじめに働かないとまずいなと思い、何とか入社できたのがある不動産会社でした。

入社間もないある日、上司に管理しているマンションの一室の給湯器の写真を撮ってこいと指示されました。

当時の私は恥ずかしいほどの世間知らずで知識が全くありませんでした。給湯器と聞いて、電子ポットかその類のものだろうと思いました。

何でそんなものの写真を撮る必要があるのだろうと不思議に思いながら現地に向かいました。その部屋は空室で、鍵を開けて中に入っても当然何にもありません。後からわかったのですが不動産会社所有のマンションの一室を売却することになり、買主から給湯器の写真を送ってくれと要求されたので私が行くことになったのです。

ちょうど給湯器の調子が悪かったらしく、給湯器 埼玉で業者に依頼するためだったそうです。

そんなことは全く知らない私は不思議に思いながらどこかにポットがあるのだろうとあらゆる扉や収納の場所を探し回りました。しかしポットは当然どこにもありません。電話して上司に聞けば済む話ですが、私の上司は物凄く怖い人で、若い私はそんな電話をしたら怒られると思い必死で探しました。

ふと思ったのが、埋め込み式で、私には見えないだけでキッチンかどこかに設置されているのではということでした。そこで、室内のすべての写真を撮れば私には認識できなくてもどれかの写真に写り、業務命令を遂行したことになるだろうと思いました。

そこから数十枚、トイレ内やベランダも含めて写真を撮り、社内に持ち帰って恐る恐る上司に手渡しました。上司はあっけにとられて何コレと言いました。私が事情を話すと大笑いし、何で電話してこなかったんだと言われました。そんな私も今では不動産業界歴20年のベテランです。ちなみに給湯器はしっかり写っていました。